
精油の作用を探る – パート2(心と感情への働き)
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精油を吸い込むと、その分子は嗅覚系を通じて大脳辺縁系に届きます。大脳辺縁系は「情動の脳」とも呼ばれ、感情や記憶、ストレス反応と深く関わる部分です。
しかし影響はそれだけにとどまりません。研究によると、精油に含まれる芳香成分の一部は自律神経系にも作用し、心拍数や呼吸、さらにはホルモン分泌にまで影響を与えるとされています。つまり、香りをひと呼吸吸い込むだけで、体全体に波紋のような効果が広がり、緊張をほぐしたり、気持ちを整理したり、より前向きな自分を取り戻すきっかけになるのです。
前回(パート1)では、精油の心への代表的な作用として「鎮静作用」「抗うつ作用」「明晰作用(セファリック)」「バランス作用」をご紹介しました。今回はその続きをお届けし、心の健康を支える精油のさらなる可能性を探っていきます。
抗不安作用(Anxiolytic)
不安や落ち着かない気持ちを和らげ、安心感と静けさをもたらす精油です。心を落ち着け、内側からの安定をサポートします。
例:ラベンダー、ベルガモット、フランキンセンス、ユズ
アダプトジェニック作用(Adaptogenic)
ストレスに対する心と体の回復力を高め、バランスを保てるように働く精油です。過剰に刺激したり鎮静したりせず、状況に応じた適応力をサポートします。
例:ローズマリー、スイートバジル、スコッチパイン、タイム、エレミ
多幸感作用(Euphoric)
気分を高揚させ、喜びや軽やかさをもたらす精油です。心の重さを和らげ、前向きなエネルギーを取り戻すのに役立ちます。
例:メイチャン、プルメリア(フランジパニ)、タンジェリン/マンダリン、イランイラン
グラウンディング作用(Grounding)
感情を安定させ、散らかった思考を落ち着かせる精油です。深みのある大地のような香りは、不安定な時期にしっかりとした「よりどころ」を与えてくれます。
例:ベチバー、ミルラ、サンダルウッド、パチュリ、ヒノキ、コパイババルサム
これらの作用は、精油が体だけでなく、感情や日常の回復力をも支えてくれることを示しています。自分が心地よいと感じ、共鳴できる香りを選ぶことで、その効果をより高めることができ、日々の暮らしに落ち着きや明晰さ、喜びをもたらしてくれるのです。
パート1とパート2を合わせることで、アロマセラピーが心にどのように働きかけるかをより広い視点で理解していただけると思います。神経を落ち着けることから、喜びを引き出し、今この瞬間に意識を取り戻すことまで、精油は私たちの心を多角的に支えてくれます。
あなただけのブレンドで、精油の力を日常に取り入れてみませんか。