
精油の作用を探る – パート1(心と感情への働き)
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前回までのブログでは、精油が体をどのようにサポートするかをご紹介しました。今回は視点を「心」に移し、香りが持つもっともパワフルで即時的な作用についてお話ししたいと思います。
精油を吸入すると、その分子は鼻の嗅覚系を通って体内に入り、そこにある受容体から直接脳へ信号が送られます。この信号が届くのは、大脳辺縁系――「情動の脳」とも呼ばれる部分です。ここは気分、記憶、ストレス反応の中心的な役割を担っています。
そのため、ある香りが一瞬で子どもの頃の思い出を呼び起こしたり、ざわつく心を落ち着けたり、つらい一日にそっと笑顔をもたらしてくれたりするのです。そして香りへの感情的な反応はとても個人的なもの。だからこそ、自分が本当に心地よいと感じる香りを選ぶことが大切です。安心感や高揚感を与えてくれる香りこそが、リラックスやバランス回復をサポートし、より自分らしさを取り戻す手助けをしてくれるのです。
以下に、アロマセラピーでよく取り上げられる「心への代表的な作用」をいくつかご紹介します。
鎮静作用(Sedative / 神経系を落ち着かせる)
神経系の過剰な高ぶりを静め、副交感神経をサポートすることで休息とリラクゼーションを促します。ストレスを和らげ、気持ちを落ち着け、心身を休ませる準備を整えてくれます。
例:ラベンダー、ローマンカモミール、イランイラン、スイートマジョラム、サンダルウッド、ヒノキ
抗うつ作用(Antidepressant / 気分を持ち上げる)
気分を明るくし、心に軽やかさと活力を取り戻してくれます。臨床的なうつ病を治すものではありませんが、落ち込みを和らげたり、活力を感じやすくする助けになります。
例:ベルガモット、フランキンセンス、ゆず、レモンバーベナ、ネロリ
明晰作用(Cephalic / 頭をクリアにする)
頭をすっきりさせ、集中力や思考の明晰さを高めてくれます。疲労感や気持ちの混乱、ブレインフォグのような状態に役立ちます。
例:ローズマリー、バジル、ペパーミント、ブラックスプルース、カルダモン
バランス作用(Balancing / 感情やホルモンの安定)
感情の起伏やホルモン変動を安定させ、気分のバランスを保ちやすくしてくれます。グラウンディング(地に足のついた感覚)をもたらし、心を落ち着かせるサポートを。
例:ゼラニウム、クラリセージ、ラベンダー、パルマローザ、サイプレス
このように、精油は感情だけでなく、心全体のウェルビーイングに影響を与えます。丁寧に選びブレンドすることで、その人に合ったサポートとなり、より落ち着いた自分へとつながる手助けとなります。
次回(パート2)では、不安を和らげる抗不安作用、心身を整えるアダプトジェニック作用、多幸感を与える作用、そしてグラウンディング作用など、さらに深く心に働きかける精油の力についてご紹介していきます。
あなただけのブレンドで、精油の力を日常に取り入れてみませんか。